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不動産売却における反復継続の基準とは?違反時の罰則や対策を把握しよう

不動産売却における反復継続の基準とは?違反時の罰則や対策を把握しよう

不動産を売却する際、その取引が「宅地建物取引業」と見なされることがあります。
宅地建物取引業の免許を持っていないと、取引がこの業種に該当すると判断された場合、法律違反となり罰則が科せられる可能性があります。
とくに広い土地を分割して売却したり、所有している複数の不動産を売却したりする場合は、「反復継続」とはなにかを理解し、その基準や注意点をしっかりと把握しておくことが大切です。

不動産売却における反復継続とは?

不動産売却における反復継続とは?

動産を売却する際、その取引が「宅地建物取引業」と見なされることがあります。
もし宅地建物取引業の免許を持っていない場合、この業種に該当すると判断されると法律違反となり、罰則が科せられる可能性があります。
特に以下のようなケースでは注意が必要です。

●広い土地を分割して売却する
●複数の不動産を所有している場合に売却する


これらの場合、売却が「反復継続」と見なされることがあります。
反復継続とは、同じような取引を繰り返しおこなうことです。
国土交通省のガイドラインでは、以下の基準で「宅地建物取引業」に該当するかどうかが判断されます。

●取引の対象者:一般向けは事業性が高く、特定の人や団体向けは低い
●取引の目的:利益目的は事業性が高く、資金調達目的は低い
●取得経緯:転売目的は事業性が高く、相続や使用目的は低い
●取引の態様:自己販売は事業性が高く、業者依頼は低い
●取引の反復継続:繰り返し取引は事業性が高く、1回だけの取引は低い


不動産売却を考えているなら、特にこの「反復継続」には注意が必要なため、しっかりと理解しておきましょう。

反復継続とは?

不動産売却における「反復継続」とは、取引を繰り返しおこなうことを指します。
国土交通省のガイドラインによれば、1回限りの取引は事業性が低いとされますが、広い土地の分割販売や複数人への売却などは反復継続と見なされやすく、宅地建物取引業の免許が必要です。
たとえば、広い土地を複数の区画に分けて売却する場合や、マンションの各部屋を個別に売却する場合が該当します。
複数回にわたる取引は反復継続と見なされることがあります。

具体的な判断基準

不動産売却が反復継続と見なされる回数に明確な基準はありません。
判断は行政庁がおこなうため、不動産会社と相談しながら進めると良いでしょう。
以下のケースが「反復継続」と見なされやすいです。

●短期間で複数回の取引:頻繁な取引は反復継続と見なされる可能性が高い
●広い土地の分割販売:少数の区画でも反復継続と見なされることがある
●事業目的での取引:利益目的での取引も反復継続と見なされることがある

反復継続は誰が判断する?

反復継続かどうかの判断は国土交通省や都道府県がおこないます。
具体的な基準回数はありませんが、一般的に行政庁の裁量に委ねられています。
不安な場合は、まず不動産会社に相談することが重要です。

無免許で反復継続にあたる不動産売却をおこなったときの罰則

無免許で反復継続にあたる不動産売却をおこなったときの罰則

宅地建物取引業の免許なしに取引をおこなうと、法律に違反する可能性があり、罰則が適用されることがあります。
違反が発覚すると、警察による取り締まりを受ける可能性もあるため、注意が必要です。
続いては、無免許で取引を行った場合の罰則について、個人と不動産会社それぞれ解説します。

無免許で取引をおこなった「個人」に対する罰則

宅地建物取引業の免許なしで営業をおこなうことは、「宅地建物取引業法第12条」により禁止されています。
この法律では、無免許での営業や広告行為が禁じられており、違反した場合は以下の罰則が科せられる可能性があります。
具体的には、無免許営業をおこなった者には、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(またはその両方)」が科せられる可能性があるでしょう。
これは宅地建物取引業法第79条第2号に基づくもので、もっとも重い罰則に該当します。
この規定により、無免許で宅地建物取引業を行うことは重大な法令違反と見なされ、厳しい処罰が適用されることがあります。

無免許での取引を媒介した不動産会社に対する罰則

免許を持たない方がおこなう取引に対して、不動産会社が代理または媒介を行った場合にも、宅地建物取引業法に基づく処分が科せられる可能性があります。
具体的には以下のような罰則があります。
指示処分
業務に関して取引の公正を害する行為をした場合、またはその恐れがある場合、宅地建物取引業法第65条第1項2号に基づいて指示処分の対象となります。
業務停止処分
不正または著しく不当な行為があった場合、宅地建物取引業法第65条第2項5号に基づき、1年以内の業務停止処分が科せられることがあります。
免許取消処分
情状が特に重い場合には、宅地建物取引業法に基づき、免許取り消し処分が科せられることがあります。
また、無免許での営業を助けた不動産会社も、刑法に基づいて処罰される可能性があるでしょう。
つまり、不動産会社も無免許営業を支援することは厳しく禁止されています。
このように、宅地建物取引業の免許がない状態で取引をおこなうと、個人にも不動産会社にも大きな法的リスクが伴います。
法律を守り、適切な対策を講じることが非常に重要です。

不動産売却で反復継続と判断されないための対策はある?

不動産売却で反復継続と判断されないための対策はある?

無免許営業をおこなうと、厳しい罰則を受ける可能性があります。
とくに、取引回数が多いと「反復継続」と見なされるリスクが高まります。
しかし、多くの不動産を一度に売るのは難しいため、取引が「宅地建物取引業」とされるかどうかは、どれだけ事業的におこなわれているかが重要です。
取引回数が増える場合は、以下の対策を取ることで、宅地建物取引業と見なされるリスクを減らすことができます。

対策①不動産売却は専門の不動産会社に依頼する

ご自身で売却活動をおこなうと、事業性が高く評価されることがあります。
不動産会社に依頼することで、そのリスクを減少させることができます。

対策②短期間での複数回の不動産売却は避ける

短期間内に頻繁に売却をおこなうと、反復継続と見なされやすくなります。
不動産売却のタイミングを調整することで、リスクを軽減できます。

対策③所有期間が短い不動産売却は避ける

所有期間が短い不動産をすぐに売ると、転売目的と見なされることがあります。
つまり、購入後すぐに売却すると、利益を狙った取引と見られる可能性が高いです。
できるだけ長期間その不動産を所有してから売却する方が、転売目的と見なされるリスクが低くなります。

対策④広い土地の複数人への売却を避ける

広い土地を複数の人に分けて売ると、「反復継続」と見なされるリスクが高まります。
つまり、複数回に分けて売却することが、事業目的の取引と判断される可能性があります。
売却方法をよく考えて慎重に進めることが大切です。
適切な対策を講じることで、事業性が高いと見なされるリスクを減らし、「宅地建物取引業」とされる可能性を低くすることができます。
しかし、対策を一つおこなっただけでは確実に「宅地建物取引業」とされないわけではありません。
疑問や不安がある場合は、不動産会社に相談しながら売却を進めるのが良いでしょう。

まとめ

不動産売却の「反復継続」とは、何度も繰り返し取引を行うことを意味します。
例えば、大きな土地をいくつかに分けて売ったり、短い期間に複数回の取引を行ったりすると、これが「事業性が高い」と見なされることがあり、宅地建物取引業の免許が必要です。
免許なしでこれらの取引を行うと、厳しい罰則が課せられる可能性があるため、適切な対策を講じること、また不動産会社に相談することが大切です。