不動産売却の前後で発生する税金の節税対策!税金の計算方法も解説

不動産売却の前後で発生する税金の節税対策!税金の計算方法も解説

マイホームの購入は人生で最大の買い物だといわれるとおり、多額の資金が必要です。
しかし、購入とは逆の「売却」にも、お金がかかることをご存じでしょうか。
想定外の出費に慌ててしまわないためにも、不動産売却の前後に必要なお金の種類と相場を確認しておきましょう。
この記事では、不動産売却に必要なお金のなかから、不動産売却の前後で発生する税金の対策方法を3つのステップで解説します。

不動産売却の税金対策①税金の種類を把握する

不動産売却の税金対策①税金の種類を把握する

不動産売却をおこなうと、大きなお金が手に入る可能性がありますが、手続きにかかる費用(諸費用)や税金の支払いも必要です。
諸費用と税金をあわせると、不動産の売却価格の4%~6%にのぼるといわれています。
たとえば、3,000万円で不動産を売却した場合、120万円~180万円を支払う計算です。
このうち100万円ほどを諸費用のひとつである仲介手数料が占め、残りの金額がほかの諸費用と税金で構成されています。
そのため、不動産売却において税金は特別大きな割合を占める出費ではありません。
しかし、不動産売却に関する税金には複数の控除があるため、要件を満たせば金額を抑えやすくなっています。
上手に節税をするために、まずは不動産売却の前後で生じる可能性がある税金の種類をご紹介します。

不動産売却にかかる税金「印紙税」

印紙税は、利益が生じそうな経済活動に関わる文書を作成する際に課される税金です。
不動産売却では、おもに売買契約書が該当します。
売買契約書は売主・買主ともに1通ずつ保管することになるため、それぞれ1通分の納税が必要です。
売買契約書に記載されている売買金額をもとに税額が決定され、税額分の印紙(収入印紙)を契約書に貼付して納めます。

不動産売却にかかる税金「登録免許税」

登録免許税は、登記簿に記されている権利を変更する際に必要な税金です。
不動産売却において、売却された不動産の所有権を変更する手続きは買主がおこないます。
そのため、基本的には売主が登録免許税を支払うことはありません。
しかし、売却する不動産の購入時に住宅ローンを利用し、不動産売却にあわせて完済する方は、決済のタイミングで「抵当権抹消登記」が必要です。
この抵当権抹消登記の際に、登録免許税が発生します。

不動産売却にかかる税金「譲渡所得税」

譲渡所得税は、売却によって得た利益に課せられる税金です。
住民税と所得税、そして2037年まで復興特別所得税が含まれています。
このうち、所得税と特別復興所得税を納めるのは、不動産売却をおこなった年の翌年の確定申告の期間です。
たとえば、2024年12月におこなった不動産売却で生じた譲渡所得税は、2025年2月中旬~3月中旬に納めます。
年をまたいで2025年1月に生じた譲渡所得税は、2026年の確定申告の期間に納めることになるため注意が必要です。
住民税だけはタイミングが異なり、確定申告を終えたあとの6月頃に支払うことになります。

不動産売却の税金対策②税金の計算方法を確認する

不動産売却の税金対策②税金の計算方法を確認する

不動産売却の前後で発生する税金の種類と納付時期がわかったところで、次に押さえたいのが計算方法です。
登録免許税・印紙税・譲渡所得税は、いずれも計算方法が異なります。

登録免許税の計算方法

登録免許税は手続きの内容ごとに種類が分かれており、それぞれ異なる計算方法があります。
不動産売却時に売主が支払う可能性があるのは、おもに「抵当権抹消登記」に関する登録免許税です。
計算方法は「抵当権を抹消する不動産の数×1,000円」となっています。
たとえば土地1つ・建物1つに抵当権が設定されており、どちらも手続きをするのであれば、2,000円の支払いが必要です。

印紙税の計算方法

印紙税の額を知りたい場合は、国税庁が公表している印紙税の一覧表から、売買金額に対応するものを探します。
たとえば、売買金額が500万円を超え1千万円以下の場合は1万円、1千万円を超え5千万円以下の場合は2万円、5千万円を超え1億円以下の場合は6万円が、納めるべき印紙税の額です。
時期によっては軽減税率が適用されることもあるため、よく確認すると良いでしょう。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、売却によって得た利益に課せられる税金です。
そのため、まずは「売買価格-売却にかかった費用-その不動産の購入にかかった費用-控除金額」を計算し、赤字になるか・黒字になるかを確認する必要があります。
赤字になったり、0円になったりするケースでは、譲渡所得税は発生しません。
黒字になった場合は、その金額(課税譲渡所得)に所有期間に応じた税率を掛けて納税額を求めます。
ここで注意したいのは、所有期間は売買契約を締結した日ではなく、不動産売却をした年の1月1日時点の期間を求めるということです。
1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として39.63%を、5年超の場合は長期譲渡所得として20.315%を乗じます。
乗じた結果算出された金額が、譲渡所得税の納付額です。
たとえば、2,000万円で購入し8年間所有していた土地を3,000万円で売却し、手続きに100万円かかったとします。
控除は次の章でご紹介するため、今の時点では考慮しません。
この場合、まずは「3,000万円-100万円-2,000万円」となり、900万円の黒字が発生したことがわかります。
所有期間8年は長期譲渡所得の税率となるため、納付額は「900万円×20.315%」で182.835万円です。

不動産売却の税金対策③要件を満たす控除を調べる

不動産売却の税金対策③要件を満たす控除を調べる

譲渡所得税は、不動産売却の前後に発生する3種類の税金のなかで、高額になりやすい税金です。
しかしマイホームの取得を促進したり、不動産の流通を活性化させたりするために、譲渡所得税の控除は多く用意されています。
そのため上手に控除を活用すれば、節約しやすい税金だともいえるのです。
ここでは、多くの方が利用しやすい控除をご紹介します。
なお、これらの適用を受けたい場合は、それぞれの必要書類を添付して確定申告をおこなわなくてはなりません。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

マイホームを売却する場合に利用可能です。
売却する不動産がマイホームであれば、住み替えるケースだけでなく、引っ越しから時間が経っているケースや解体済みで土地だけ売却するケースでも利用可能です。
要件を満たせば課税譲渡所得から最大3,000万円を控除できるため、大きな節約効果を得られます。
以前住んでいたマイホームの場合は「住まなくなってから3年が経過する日の属する年の12月31日までの売却であること」、マイホームを解体した場合は「解体してから1年以内の売却であること、またその間に土地を利用していないこと」が条件です。
また売却した年やその前年、前々年に、この特例や「マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例」「マイホームの買換えやマイホームの交換の特例」の適用を受けた場合は、利用できません。

マイホームを売ったときの軽減税率の特例

譲渡所得税は所有期間によって税率が変わり、5年を超えて所有する場合は税率が低くなります。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例を適用すると、所有期間が10年を超えるマイホームを売却した際の税率を、さらに抑えることが可能です。
課税譲渡所得が6,000万円以下の場合は課税譲渡所得に税率10%をかけて、6,000万円超の場合は「(課税譲渡所得-6,000万円)×15%+600万円」の計算式で算出します。
先ほどご紹介した「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と併用できるため、さらなる節税効果が期待できるでしょう。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

親などが亡くなったために空き家になった不動産を相続もしくは遺贈で取得後、売却した際に、最大3,000万円が控除されます。
「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却であること」「相続から売却までに誰も住んでいないこと」などが条件です。

まとめ

不動産売却の前後では、印紙税・登録免許税・譲渡所得税が発生します。
このうち譲渡所得税には控除が多く用意されており、上手に活用すると大きな節税効果を得られます。
まずはご自身のケースで発生する税金の種類を確認したうえで、利用できる控除がないか調べてみましょう。