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土地の分筆について!分筆から不動産売却を始めるまでの方法をご紹介

土地の分筆について!分筆から不動産売却を始めるまでの方法をご紹介

古い土地や使われていない部分のある土地には、税金や維持費がかかるため、「使わない一部だけを売りたい」と考える方も多いでしょう。
結論として、土地の一部売却は可能であり、相続や一部売却には「分筆」が必要です。
この記事では、分筆とはなにか、メリット・デメリット、そして手順についてご紹介します。

不動産売却における分筆とは?

不動産売却における分筆とは?

分筆とは、1つの土地を複数に分けることです。
分筆をおこなうと、法務局でそれぞれの土地に対して登記手続きがおこなわれ、登記簿に分筆した土地が別々に記載されます。
たとえば、100坪の土地を50坪ずつに分割し、それぞれに異なる地番を付けて登記するのが分筆登記です。
これにより、2つ以上の建物を建てたり、土地の一部を売却したりすることが可能になります。

分筆・合筆・分割の違い

分筆と似た用語に「分割」と「合筆」があります。
分割は、分筆と同じように土地を複数に分けることを指しますが、分筆と異なり登記はおこないません。
分割では、登記上は1つの土地として扱われますが、便宜上分けている状態です。
たとえば、1つの土地に2つ以上の建物を建てる場合、建築基準を満たす形で分割することが可能です。
分割の場合、土地の所有権は変わらず、登記も1つのままです。
一方、分筆はそれぞれの土地を別々に登記するため、登記費用や管理の手間が発生します。
建物を建てる目的だけであれば、分割を選ぶのも1つの方法です。
ただし、分割した土地で住宅ローンを組む際には、抵当権に影響が出る可能性があるため注意が必要です。
逆に、分かれている土地を1つにまとめて登記する手続きが「合筆」です。
土地が複数に分かれていると、売却時にそれぞれの土地に対して売買契約や移転登記をおこなう必要があります。
合筆をおこなうことで、この手間を省くことができます。

分筆が必要となるケース

次に、分筆が必要となる代表的なケースを説明します。
ケース①土地の一部を売却したい場合
土地の一部を売却したい場合、分筆をおこなえば、一部のみを売却し、残りは所有し続けることが可能です。
ケース②相続時に土地を分けたい場合
相続時に複数の相続人がいる場合、土地を分筆することで相続財産を公平に分けることができます。
共同名義にすることも可能ですが、将来的な売却や管理においてトラブルになるリスクがあるため、分筆する方がトラブル回避につながります。
ケース③親の土地に子どもが家を建てる場合
親の土地の一部に子どもが家を建てる場合も、分筆が選ばれることがあります。
建物を建てるだけなら分割でも可能ですが、その場合、土地の所有権は親のままです。
住宅ローンを組む際には、土地全体が担保に設定されるため、分筆することで、子どもが所有する土地のみを担保とすることができ、親の土地が差し押さえられるリスクを避けることができます。

不動産売却における分筆のメリット・デメリット

不動産売却における分筆のメリット・デメリット

土地の分筆には、権利関係の整理や地目の変更、税金の軽減といったメリットがある一方で、土地の使い勝手の悪化や税金の増加といったデメリットも存在します。
続いて、不動産売却における分筆のメリットとデメリットについて解説していきます。

土地分筆のメリット

メリット①権利関係を明確にできる
一筆の土地では、所有者を分けて登記することができませんが、分筆をおこなうことで、土地の一部を売却したり、共有している土地を個別に所有することが可能になります。
たとえば、住宅ローンを組む際に土地に抵当権を設定する場合、分筆していないと土地全体に抵当権がかかりますが、分筆することで特定の部分にだけ抵当権を設定することができます。
メリット②異なる地目を設定できる
土地の登記には「地目」と呼ばれる項目があり、土地の用途を示します。
一筆の土地内で異なる地目を設定することはできないため、例えば農地の一部に住宅を建てる場合は、分筆して住宅用地と農地に分け、それぞれに適した地目を設定する必要があります。
これにより、土地の用途を適切に変更でき、売却もしやすくなります。
メリット③税金が安くなる可能性がある
土地の評価額は、面している道路や形状によって決まります。
分筆により、大通りに面していない土地の評価額を下げることができ、結果的に固定資産税や相続税を抑えることが可能です。
ただし、減税の効果を確実に得るためには、税理士に相談することが重要です。

土地分筆のデメリット

デメリット①使い勝手が悪くなる可能性がある
分筆により土地が狭くなると、建築基準に抵触する可能性があります。
とくに、建ぺい率や容積率の制約により、新たな建築や増改築が難しくなることがあります。
そのため、分筆前に建築基準を十分に確認しておくことが大切です。
デメリット②固定資産税が高くなる可能性がある
分筆によって、土地の評価額を下げることで税金を抑えることができる一方で、建物が建っていない土地ができた場合、その土地には減税措置が適用されず、結果として固定資産税が高くなる場合があります。
とくに、すぐに建物を建てる予定がない場合は、税負担が増えるリスクがあるため、注意が必要です。

分筆から不動産売却活動を始めるまでの方法・手順

分筆から不動産売却活動を始めるまでの方法・手順

土地の一部を売却する際は、通常の売却手続きとは異なり、まずは土地の分筆が必要です。
分筆には時間がかかる場合もありますが、計画的に進めることで、スムーズに売却活動へ移行できるでしょう。
ここでは、分筆から売却活動を始めるまでの方法を、手順ごとにわかりやすく説明します。

1. 土地家屋調査士に依頼する

まず、分筆を進めるために土地家屋調査士に依頼します。
土地家屋調査士は、分筆に必要な測量や登記手続きなどの専門知識を持つため、サポートが必要です。
また、分筆する土地の形状によっては不動産価値が変わるため、不動産会社にも事前に相談するのがおすすめです。
ターゲットや目的に応じた最適な分割方法をアドバイスしてもらえるでしょう。
不動産会社が土地家屋調査士を紹介してくれることもあります。

2. 法務局や役所で調査する

次に、法務局や役所で土地の正確な面積や境界を確認します。
土地の大きさや隣地との境界が曖昧だと、売却後にトラブルになる可能性があります。
また、実際には1つの土地だと思っていても、登記上は2つに分かれていることがあるため、これも確認が必要です。
確定測量図があれば、手続きがスムーズに進むので、事前に調べておくと良いでしょう。

3. 分筆案を作成する

土地家屋調査士と協力して、どのように土地を分筆するかの「分筆案」を作成します。
具体的な作成方法については、土地家屋調査士がサポートしてくれるため、心配は不要です。

4. 現地調査と確定測量をおこなう

次に、土地家屋調査士が現地調査をおこないます。
現地の状況を把握したうえで、正確な境界線や土地の形状を測量します。
これにより、実際に登記する際のデータが整います。

5. 境界標の設置

境界が確定したら、土地の境界線に目印としてコンクリート杭や金属標などの境界標を設置します。
これにより、分筆後の土地の境界が明確になります。

6. 現地立合い

次に、土地の所有者や隣地の所有者、市道や県道に面している場合は役所の職員も交えて、現地で境界線の確認をおこないます。
関係者全員が立ち会いのもとで確認することで、後々のトラブルを防ぎます。

7. 分筆登記をおこなう

境界が確定した後、土地家屋調査士が分筆登記をおこないます。
登記の手続きは土地家屋調査士が代行しますので、委任状を用意すれば、他に特別な書類を用意する必要はありません。
登記申請後、通常は1週間ほどで手続きが完了し、登記完了証と登記識別情報通知書を受け取ることができます。

8. 不動産会社に査定を依頼し、売却活動を開始

分筆登記が完了したら、不動産会社に査定を依頼し、売却活動を開始します。
査定結果をもとに売り出し価格を決定し、通常の売却方法に進みます。

まとめ

分筆とは、1つの土地を複数に分けてそれぞれ別々に登記する手続きで、これにより、土地の一部を売却したり、相続時に公平に分けたりすることが可能になります。
分筆にはメリットとして権利関係の整理や税金の軽減がある一方、土地の使い勝手が悪くなるデメリットも存在します。
売却を目的とする場合は、土地家屋調査士や不動産会社のサポートを受けながら、計画的に進めることが重要です。