既存住宅売買瑕疵保険とは?中古住宅購入時の保険手続きの流れを解説

既存住宅売買瑕疵保険とは?中古住宅購入時の保険手続きの流れを解説

中古住宅を購入する際、見えない不具合や欠陥があると大きな費用負担につながります。
そうしたリスクに備えるために「既存住宅売買瑕疵保険」の活用が推奨されています。
この保険は購入後に住宅の瑕疵が判明した場合の修繕費用を補償し、売主が宅建業者か個人かによって加入手続きが異なる点に注意が必要です。
この記事では、瑕疵保険の基本的な仕組みや、売主ごとの契約手続きについて解説します。

既存住宅売買瑕疵保険とは

既存住宅売買瑕疵保険とは

中古住宅を購入する際に、物件の品質や将来的なリスクは大きな関心事です。
購入後に建物の欠陥が見つかると、多額の費用を要する場合があります。
こうした欠陥の修繕費用には、屋根や外壁の改修、基礎部分の補強、雨漏り箇所の防水工事などが含まれることが多く、特に見えにくい部分の不具合は事前に気づきにくい点がリスクを高めます。
また、築年数が古い住宅ほど、経年劣化による部材交換などが必要になるケースも考えられるため、購入前にはしっかりと検査や保険加入の必要性を確認することが重要です。
そうしたリスクを軽減する手段として「既存住宅売買瑕疵保険」があります。

既存住宅売買瑕疵保険

既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の売買時に加入できる保険で、購入後に判明した建物の隠れた瑕疵を補償する制度です。
主な対象は、構造耐力上重要な部分や雨水の浸入を防止する部分で、重大な欠陥が見つかった場合に修繕費用が支払われることがあります。
加入には事前の建物検査が必須で、検査に合格した住宅のみが保険の対象となります。
売主が宅建業者でない個人であっても、条件を満たせば加入可能であり、中古住宅を安心して購入するための選択肢として注目されているでしょう。
建物検査では、基礎の亀裂や柱の腐食、雨樋や外壁の劣化状況などが確認され、検査結果に基づいて修繕をおこなうことで、保険適用の対象となる場合もあります。

保険制度

既存住宅売買瑕疵保険は、国土交通大臣が指定した保険法人によって提供されます。
専門家による検査を通過しなければ保険を利用できないため、加入時に住宅の状態を確認できる点が特徴です。
保険期間は1~5年で、プランや保険料は物件の状態によって異なるため、事前確認が重要です。
加入を検討する際には、どの部位まで瑕疵の範囲に含まれるか、具体的な検査基準はどうなっているかなどを仲介業者や保険法人に確認しておくと、実際にトラブルが発生した際にもスムーズに対応できます。
保険法人によって点検箇所や補償条件が若干異なる場合があるため、複数社のプランを比較検討することをおすすめします。

修繕費用

既存住宅売買瑕疵保険に加入していると、瑕疵が見つかった際に保険金で修繕費用をカバーできます。
雨漏りや基礎の重大な欠陥など、修繕に高額な費用がかかる場合でも保険が適用されるため、大きな負担を軽減できます。
ただし、瑕疵の範囲や免責金額、補償割合など契約条件によって支払われる保険金額が異なるため、事前に保険法人から提示される内容をしっかり確認しましょう。
中古住宅では、一部の部材がすでに生産終了となっている場合があり、修繕に特殊工事が必要になることがあります。
そのような場合、追加費用を保険金でまかなえるかどうかは契約内容の細部に左右されるため、検討段階で十分に理解しておくことが大切です。

売主が宅建業者の場合の保険契約手続きの流れ

売主が宅建業者の場合の保険契約手続きの流れ

売主が宅地建物取引業者の場合は、既存住宅売買瑕疵保険の申し込みに際して事業者登録など独自の手続きが求められます。

手続き

まず、売主である宅建業者は、保険法人へ事業者登録をおこない、物件ごとに保険を申し込みます。
この際、物件の情報や必要書類を提出し、専門家による検査を受けます。
検査に合格すると保険証券が発行され、買主に対して保証を提供できるようになるでしょう。
もし、検査で不合格となった場合は、指摘箇所を修繕したうえで再検査を受ける必要があります。
事業者登録をおこなうメリットとしては、定期的に物件を取り扱う宅建業者が、買主に対して安定した保証を用意できる点が挙げられます。
また、宅建業者側も保険の内容を把握しているため、物件の状態や修繕履歴についてスムーズに買主へ説明できる場合が多いです。

保険期間

売主が宅建業者の場合も、保険期間はおおむね2年または5年といったプランが用意されています。
期間が長いほど保険料は高額になる傾向があるため、物件の築年数や買主の希望を考慮して選択しましょう。
なお、保険期間内に売主が倒産した場合でも、契約状況によっては買主が直接保険金を請求できる仕組みが整えられています。
実際には、宅建業者が倒産すると書類の確認などに手間取る可能性があるため、買主としては契約書や保険証券を手元に確実に保管しておく必要があります。
万一のトラブル時に、保険法人に問い合わせをスムーズにおこなうためにも、必要書類の保管方法を事前に確認しておきましょう。

保険金

既存住宅売買瑕疵保険では、修繕費用や調査費用が保険金の支払い対象となります。
契約内容によっては、仮住まい費用も含まれることがあるでしょう。
たとえば、修繕費用100万円、免責金額10万円、補償割合80%の場合、(100万円-10万円)×80% = 72万円が支払われます。
このように、補償割合の設定によって保険金が全額負担されるわけではない場合もあるため、あらかじめ自己負担額を確認しておくことが重要です。
また、物件によっては追加工事が必要になるリスクもあるため、実費がかさみやすい改修箇所を事前に把握し、必要なオプションを選択することも検討するポイントとなります。

売主が個人の場合の保険契約手続きの流れ

売主が個人の場合の保険契約手続きの流れ

売主が個人の場合でも、既存住宅売買瑕疵保険を利用できますが、仲介業者の役割が重要です。

手続き

個人が売主となる場合は、不動産仲介業者が国土交通大臣の指定を受けた保険法人に事業者登録をしている必要があるでしょう。
そのうえで、仲介業者が物件ごとに保険を申し込み、保険法人や検査機関による審査を経て、構造耐力上主要な部分などに欠陥がないことを確認します。
検査に合格すると保険証券が発行されます。
個人売主の場合、宅建業者のように繰り返し物件を扱うケースが少ないため、仲介業者が積極的に書類や手続きのサポートをおこなうのが一般的です。
もし、仲介業者を通さずに売買契約を結んだ場合、瑕疵保険への加入が難しくなる可能性があるため、購入希望者が安心して契約できるように、仲介業者選びも重要なポイントとなります。

保険期間

保険期間は1年、2年、5年などから選択するのが一般的ですが、プランによって保険料や補償範囲が異なります。
仲介業者と相談し、買主のニーズに合わせて選びましょう。
とくに築古物件では、1年では不安に感じる買主もいるため、多少保険料が高くなっても2年や5年のプランを希望するケースがあります。
ただし、保険期間が長いほど専門家の検査内容や保険料の負担が増えることがあるため、物件の状態や将来的な修繕計画を踏まえ、適切な期間を選定することが重要です。

保険金

保険金の支払い対象は修補費用や調査費用で、契約内容によっては仮住まい費用も含まれます。
たとえば修補費用100万円、免責金額5万円、縮小てん補割合100%の場合、(100万円-5万円)=95万円が支払われます。
仲介業者が倒産しても、買主が直接保険金を請求できるプランが多いです。
ただし、仲介業者が手続きを代行していた場合、必要書類が整っていないと支払いの際に手間がかかる可能性があります。
保険金の申請手順や補償の上限額については、保険法人から事前に詳しく説明を受け、万が一の際に買主自ら手続きできるか確認しておくと安心です。

まとめ

中古住宅を購入する際には、既存住宅売買瑕疵保険を活用しておくと、万が一の瑕疵発覚時にも修繕費用を補償してもらえます。
売主が宅建業者か個人かで手続きに違いがあるため、契約前に流れを把握しておきましょう。
保険期間や補償内容を十分に検討し、スムーズな取引を進めることで、安心して中古住宅を購入できるでしょう。