不動産売却の譲渡損失について!特例や申告方法も徹底解説

不動産売却の譲渡損失について!特例や申告方法も徹底解説

不動産を売却する際、譲渡損失が発生するケースを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
譲渡損失とは、売却価格が購入価格を下回ることで生じる損失です。
特例制度や確定申告を活用すると、税負担を軽減する方法があります。
本記事では、不動産売却時の譲渡損失に関する基本知識や特例、申告手続きを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産売却の譲渡損失とはなにか

不動産売却の譲渡損失とはなにか

不動産を売却した際、購入時の価格や取得費用よりも売却価格が低い場合に「譲渡損失」が生じます。
この損失は個人の資産状況に影響を与えるため、適切な対応が求められます。
ここで大切なのは、単純に購入時の価格だけで判断するのではなく、仲介手数料や登記費用などの取得費用も含めた総額との差額を正確に把握することです。

売却損の概要

たとえば、5,000万円で購入した住宅を4,000万円で売却すると、1,000万円の譲渡損失が生じます。
売却損が発生する要因は、不動産市場の下落や物件の老朽化、周辺環境の変化などが挙げられます。
また、住宅ローンの残債がある場合、売却価格がローン残高を下回ると、売却後も返済義務が残る点に注意が必要です。
地価下落が進んでいるエリアでは、購入価格より売却価格が大幅に下がりやすく、売却損の金額も大きくなる傾向があります。
そのため、地域の相場を定期的にチェックし、将来的なリスクを視野に入れた計画を立てておくことも重要です。

税金に関する影響

通常、譲渡損失が発生した場合には、譲渡所得に対する課税はありません。
しかし、居住用財産を売却して生じた譲渡損失には、条件を満たすと他の所得と損益通算が可能となる特例があります。
住宅ローンが残っている場合など、厳格な要件に該当すれば、損失を翌年以降3年間繰り越すこともできます。
ただし、売却先が親族でないことや居住用であることなど、国税庁が定める条件を確認することが大切です。
損益通算による恩恵は、給与所得や事業所得といった他の所得の総額を減らせる点にあります。
サラリーマンであれば、給与から天引きされる住民税や所得税を取り戻す可能性があるため、譲渡時期や住宅ローン残高を考慮したうえで特例利用の可否を検討するとよいでしょう。

軽減措置のポイント

譲渡損失の税負担を軽減するには、次の特例が代表的です。

●マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
●住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じた場合の特例


いずれも居住用財産であること、売却価格が一定額以下であること、親族売買でないことなどの要件を満たす必要があります。
確定申告が必須となるため、適用を検討する際は専門家に相談してください。
特例を適用する際は、住民票や住宅ローンの返済予定表などが確認書類として求められる場合があります。
また、買い換えの場合は新居への入居時期にも注意が必要で、転居と売却のタイミングを誤ると特例が適用できなくなるケースがあるため、スケジュールの管理が重要です。

不動産売却で譲渡損失が出た場合に利用できる特例と利用条件

不動産売却で譲渡損失が出た場合に利用できる特例と利用条件

譲渡損失が出た際には、繰越控除や損益通算などの特例が利用可能です。
適用条件は厳格なので、要点をしっかり押さえましょう。
このような特例を利用するには、売却価格や所有期間、買い替えの有無など、複数の要素を総合的に判断していく必要があります。

繰越控除

不動産売却時に譲渡損失が生じた場合、居住用財産であれば、買い替えを伴わなくても一定の条件下で繰越控除が認められます。
この特例を利用すると、他の所得と損益通算しきれなかった損失を翌年以降3年間にわたって控除可能です。
ただし、売却相手が親族でないことやローン残高の要件など、条件を満たす必要があります。
実務的には、売却時の残高証明書の取得や、売却に関わる諸費用の明細を整備しておくことが大切です。
住宅を購入した時点の資金計画書やローン契約書なども、後で繰越控除の証明に役立つケースがあるため、捨てずに保管しておきましょう。

適用条件の確認

譲渡損失の特例を受けるための主な条件は、以下のとおりです。

●居住用財産であること
●所有期間が5年を超えていること
●売却相手が親族など特別な関係者でないこと
●住宅ローンの残高が一定額以上であること(ローンがある場合)


これらに該当しないと特例の適用は受けられません。
詳細は国税庁の公式情報や専門家に確認するのがおすすめです。
くわえて、売却前に住宅の名義や居住実態を整理しておくと、のちの手続きが円滑になります。
共働き夫婦が共同名義で購入していた場合、どちらが実際に居住していたかなどを示す書類の準備が必要になる場合があります。

大きな譲渡損失が出た場合の注意点

大きな損失でも、要件を満たせば損益通算や繰越控除の特例を利用できます。
ただし、新たな居住用財産を一定期間内に取得し、その住宅に実際に居住することなど、追加の要件が設けられています。
繰越控除は、最長3年間のみ有効で、期間延長はできません。
手続きには確定申告が必要なので、必要書類を早めに準備しましょう。
また、大きな譲渡損失に対しては、後の年収や所得状況によって控除しきれない場合もあり得ます。
特例を最大限に生かすためには、売却の年度をいつにするか、所得が多い年度に合わせられるかなどの検討が必要です。

不動産売却で特例を受けるための確定申告について

不動産売却で特例を受けるための確定申告について

不動産売却で特例を受ける際は、確定申告が欠かせません。
正確な手続きをおこなうことで、税負担を軽減できます。
確定申告の手順に慣れていない場合は、早めに必要書類をリストアップするなど、段取りを確認しておくと安心です。

申告の流れと手順

まずは、譲渡所得を算出し、該当する特例の要件を確認します。
その後、確定申告書に必要事項を記入し、必要書類を添付したうえで税務署に提出します。
提出方法は、税務署への持参、郵送、eTaxによるオンライン提出などです。
この際、譲渡所得の計算間違いや減価償却費の計上漏れなどが起きると、後の修正申告で手間が増える可能性があります。
適正に計算できるよう、購入時からの費用や物件管理の記録を整理しておくことが大切です。

必要書類の準備方法

主な書類は以下のとおりです。

●確定申告書B様式
●確定申告書第三表(分離課税用)
●登記事項証明書
●売買契約書のコピー(購入時・売却時)
●取得費用・譲渡費用を証明する領収書の写し
●マイナンバーカードなど本人確認書類


これらをそろえたうえで、申告書に正確に記載してください。
特例を利用する場合には、住宅ローン残高証明書や住民票などが追加で必要になることがあります。
可能であれば、チェックリストを作成して漏れがないようにし、スムーズに提出できるよう準備しましょう。

確定申告の提出時期

確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日までが基本です。
提出が遅れると、延滞税や加算税が発生する可能性があるため、期限内におこないましょう。
eTaxは24時間利用可能で、忙しい方にも便利です。
不明な点は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
また、確定申告期間が近づくと税務署は大変混み合うため、書類の記入や添付書類の確認を前もっておこなうよう心がけてください。

まとめ

不動産売却で生じる譲渡損失は、資産面や税金の負担に直結するため慎重な対応が必要です。
特例を理解し、条件を満たすことで損失を他の所得と通算したり、繰り越して控除したりできます。
確定申告の流れや必要書類の確認を早めにおこない、手続きをスムーズに進めてください。
専門家に相談しながら進めれば、より正確な対応が可能になります。