不動産売却で必要な媒介契約の種類とは？それぞれのメリットや注意点を解説

不動産売却をおこなう際は、一般的には不動産会社に依頼し、媒介契約を結んでから売却活動を進めていきます。
媒介契約には3つの種類があるため、ご自身に合った最適な契約方法を選択すると良いでしょう。
そこで、不動産売却をする際の媒介契約とはなにか、媒介契約の種類ごとのメリット、注意点について解説します。

不動産売却で必要な媒介契約とは？3つの種類について

個人の買主を探したい場合、一般的に不動産会社に仲介を依頼します。
その際に、売主と不動産会社で売却を進めるために結ぶ契約が「媒介契約」です。
媒介契約には3つの種類があるため、その中からもっとも最適な契約方法を選ぶことになります。
ここでは、3つの媒介契約の特徴について解説します。

媒介契約の種類①一般媒介契約

一般媒介契約とは、複数の不動産会社に仲介を依頼することが可能な契約方法です。
また、売主ご自身が見つけてきた買主と直接売買することも可能など、比較的制限が少なく自由に売却活動を進めることができます。
ただし、注意しなければならない点は、レインズへの登録義務がないことです。
レインズとは、不動産物件情報を交換するためのネットワークシステムのことです。
また、定期的に不動産会社から売主に販売状況について報告する義務も、一般媒介契約にはありません。

媒介契約の種類②専任媒介契約

専任媒介契約は、不動産会社を1社に絞って依頼する契約方法で、契約期間が最長3か月と決まっていることが一般的です。
一般媒介契約と同様に、ご自身が見つけてきた買主と自由に売買契約を締結することが可能です。
レインズへの登録義務があり、締結した翌日から7日以内と決められています。
また、売主への販売状況の報告義務も2週間に1回以上と定められています。

媒介契約の種類③専属専任媒介契約

専属専任媒介契約も、専任媒介契約と同じで1社のみの不動産会社に依頼する契約方法で、契約期間が3か月です。
レインズへの登録義務は、締結日の翌日から5日以内と、もっとも短く設定されています。
また、販売状況報告も、1週間に1回以上となっています。
ただし、専属専任媒介契約の場合は、ご自身で見つけてきた買主と契約を結ぶ際は、不動産会社を介しておこなうことが義務付けられているため注意しましょう。

不動産売却の3つの媒介契約！それぞれのメリットとは？

3つの媒介契約の特徴がわかったところで、それぞれのメリットについてみていきましょう。

一般媒介契約のメリット

一般媒介契約のメリットは、複数の不動産会社に依頼するため、より良い条件で売却できる点です。
とくに、好立地ですぐに売れそうな不動産の場合は、一般媒介契約が向いているといえるでしょう。
また、レインズへの登録義務がないため、不動産売却を周囲に気づかれずに売却したい場合もメリットになります。
レインズに登録すれば、全国どこからでも物件情報を閲覧できるため、物件を売り出し中ということを知られてしまう可能性があります。
その点、一般媒介契約はレインズへ登録する義務がないため、物件情報を公にすることなく販売活動を進めることが可能です。
ただし、一般媒介契約には、定期的に不動産会社から売主に販売状況について報告する義務はありません。
そのため、どのような状況になっているか把握しづらい点がデメリットといえるでしょう。

専任媒介契約のメリット

専任媒介契約のメリットは、1社のみの不動産会社に依頼するため、積極的に販売活動がおこなわれる点です。
また、一般媒介契約と違い、レインズへの登録義務があるため、より多くの方に物件情報を知ってもらうことができます。
また、販売状況も2週間に1回以上の頻度で報告を受けることが可能なため、安心して取引を進めることができるでしょう。
さらに、専属専任媒介契約と大きく違う点は、ご自身で探してきた買主と取引が可能なことです。
親戚や友人などが購入してくれることになっても、不動産会社を介さずに取引できるため、その際は仲介手数料が不要といったメリットがあります。

専属専任媒介契約のメリット

専属専任媒介契約の最大のメリットは、他の媒介契約と比較して、もっとも手厚いサポートを受けられることです。
また、販売状況報告も1週間に1回以上と義務づけられているので、より細かい状況を把握することができます。
そのため、なかなか買主が見つかりそうにない物件でも、確実に売却したい場合は専属専任媒介契約がおすすめです。
ただし、ほかの2つの媒介契約と異なり、ご自身で見つけた買主と売買する際も仲介を依頼した不動産会社を通さなければならない点に注意しましょう。

不動産売却で媒介契約を結ぶ際の注意点

最後に、媒介契約を結ぶうえでの注意点を解説します。

注意点①一般媒介契約は内覧が重複しないようにする

一般媒介契約でもっとも注意すべき点は、内覧の日時が重複しないようにすることです。
複数の不動産会社とやり取りをしていると、ときには内覧の希望日時が重なってしまったり、同時に購入申し込みをされたりすることがあります。
せっかくの内覧希望者を逃さないためにも、スケジュール管理はしっかりとおこなっておきましょう。
また、購入申し込みがあった場合は、速やかに不動産会社に連絡するようにしましょう。
一般媒介契約は複数の不動産会社と連絡を取り合う必要があるため、トラブルに発展しないように注意しなければなりません。
そのような手間やスケジュール管理が難しい場合は、別の媒介契約を検討したほうが良いでしょう。

注意点②複数の不動産会社と契約すれば良いということではない

一般媒介契約の場合は、複数の不動産会社と契約できるため、早く売却できると思うかもしれないですが、必ずしもそうとは限りません。
なぜなら、不動産会社の数が増えるほど、手続きの手間や連絡、スケジュール管理が大変になるからです。
そのため、多くても3～4社程度に抑えておくことをおすすめします。
また、専任媒介契約や専属専任媒介契約は、1社のみの契約ではあるものの、一般媒介契約よりも手厚いサポートを受けられるためスムーズな売却が望めるでしょう。

注意点③複数社から出す広告は統一する

一般媒介契約のように複数社から広告を出す場合は、必ず物件情報を統一するようにしましょう。
たとえば、3社に依頼していた場合は、A社は3,000万円、B社は3,100万円、C社は3,200万円とバラバラにしてしまうと、買主は混乱してしまいます。
そのため、販売途中で値下げした場合も、各社で統一するようにしましょう。
また、価格だけでなく、駅からの距離や各施設への距離なども統一しておくことをおすすめします。

売却を確実に進めるなら「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」がおすすめ

専任媒介契約や専属専任媒介契約は、窓口が1本なので、依頼する不動産会社への連絡や手続きが楽な点がメリットといえるでしょう。
また、一般媒介契約と違い、契約期間も決まっているので、より熱心に売却活動を進めます。
そのため、高く・早く確実に売却したい場合は、専任媒介契約か専属専任媒介契約を選択することをおすすめします。

まとめ

不動産売却で不動産会社に仲介を依頼する際は、3つ媒介契約の中から1つ選んで契約をおこないます。
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約できるメリットはありますが、販売状況を報告する義務がない点や、複数社とやり取りする手間が大変といったデメリットがあります。
専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、1社のみとのやり取りで手厚いサポートを受けられ、かつ確実に売却することができるでしょう。