マンションの1階は売れにくい？売却を成功させるポイントも解説

マンションの1階は売却が難しいとされることがあり、その要因には日当たりや防犯面、浸水リスクなどが挙げられます。
一方で、専用庭の利用や階段移動の不要といったメリットを重視する購入希望者もいます。
売却を成功させるには、魅力を適切に伝え、価格設定や販売戦略を工夫することがポイントでしょう。
そこで今回は、1階物件の売却が難しい理由やメリット、効果的な売却方法について解説します。

マンションの1階の物件が売却しにくい理由

マンションの1階部分は、売却時に他の階と比べて難航することが多いとされています。
その主な理由として、日当たりの悪さ、防犯面での不安、そして浸水リスクが挙げられるでしょう。
これらの要因が、購入希望者の関心を下げることにつながっています。

日当たり

1階の部屋は、上層階に比べて日当たりが悪い傾向があります。
とくに周囲に高い建物がある場合、日光が遮られ、室内が暗く感じられることが多いです。
このような環境では洗濯物が乾きにくく、湿気がこもりやすいため、カビの発生リスクも高まります。
また、冬場の暖房費が増加する可能性も考えられ、心理的にも敬遠されがちです。
一方で、照明や内装の工夫などで明るさを演出し、植栽や庭を活用して自然光を取り入れることも検討できます。
さらに、部屋の奥まった場所に小窓を取り付けるリフォームをおこなう例もあり、明るさを確保しつつ風通しを向上させる工夫が注目されています。
また、室内に大きな鏡を設置すると光を反射して部屋全体が明るく感じられ、心理的な圧迫感を和らげる効果も期待できるでしょう。
カーテンを、白や明るい色にするだけでも光が透過しやすくなり、日中の自然光を取り入れるうえで役立つため、入居後の工夫として有効です。

セキュリティ

1階部分は外部からの侵入が容易であると考えられ、防犯面での不安が指摘されています。
窓やベランダが地上に近いため、空き巣や不審者の侵入リスクが高まると感じる方も少なくないでしょう。
また、通行人の視線も気になるため、プライバシーを確保しにくい場合があります。
しかし、防犯ガラスや補助錠、センサーライトや防犯カメラなどを導入し、植栽の配置を工夫することで不安を軽減できます。
さらに、近年は警備会社との連携によるオンライン監視サービスが普及しており、不審者の侵入や器物損壊などが検知されれば、迅速な通報が可能です。
具体的には、窓開閉時のセンサーや人感センサーが異常をキャッチし、警備会社へ自動通報が行われるシステムが導入されるケースが増えています。

浸水

1階部分は、豪雨や台風などの際に浸水リスクが高まりやすいです。
周辺の地形や排水設備の状況によっては、床上浸水の被害を受ける可能性があります。
浸水被害は建物や家具へのダメージ、カビの発生など健康面への影響も考えられます。
適切な対策として、排水設備の整備や防水扉の設置、床を高くする工夫などが挙げられるでしょう。
また、ハザードマップを確認し、浸水リスクの低い地域を選ぶことも重要です。
以上のように、マンションの1階部分は日当たり、防犯、浸水といった点でデメリットがありますが、対策次第で売却の可能性を高めることができます。
また、雨水の排水経路を定期的に点検し、落ち葉やゴミなどで詰まっていないかを確認しておくことも有効な予防策となります。
排水経路の詰まりが解消されていれば、大雨でも水はけが良くなり、床上浸水のリスクを抑えられるでしょう。
近年は豪雨の頻度が増えているため、各自治体が公表している災害情報の収集も欠かせません。
とくに、河川や排水路に近い物件の場合は、早期に避難できるルートを確保しておくことが一層重要です。

マンション1階のメリットについて

マンションの1階部分には、他の階にはない独自の利点が数多く存在します。
これらのメリットを理解することで、1階住戸の魅力を再発見できるでしょう。

騒音

1階の最大の利点の一つは、階下への騒音を気にせず生活できる点です。
とくに、小さなお子様がいるご家庭では、子供の足音や遊びによる音を心配する必要がありません。
楽器を演奏する方や、ペットを飼っている場合でも、階下への影響を考慮せずに過ごせます。
ただし、ピアノなどの重低音が響く楽器の場合は、1階であっても防音マットや吸音パネルの導入をおすすめします。

移動距離

1階住戸は、エレベーターを待つ必要がなく、建物の出入りがスムーズです。
大量の買い物やベビーカー、車椅子の使用時も移動しやすく、災害時の避難も迅速におこなえます。
また、高齢者にとっても日常の外出の負担が少なく、活動的な生活を維持しやすいです。
さらに、エレベーターが混雑する大型マンションでは、朝夕の通勤・通学時に長時間待たずに出入りできる点も大きな魅力です。
混雑ストレスが軽減されることで、時間を有効活用でき、日々の生活の満足度向上にもつながります。

専用庭

1階住戸には専用庭を持つ物件が多く、ガーデニングや家庭菜園、子供用プールなど多様な楽しみ方があります。
ペットの遊び場として活用でき、リビングからの眺望を豊かにして暮らしに彩りを添えます。
近年では、ウッドデッキを設置してリビングの延長として利用する例も増えているようです。
天気の良い日に椅子やテーブルを置いてくつろげるため、室内とはまた違った居住空間を楽しむことができます。
また、子供がいる家庭であれば砂場や遊具を設置する例も見られ、家族のコミュニケーションの場として活用されています。
定期的な草むしりや掃除が必要となるため、維持管理の手間を購入希望者に正確に伝えることも大切です。

マンション1階の物件を売却するコツについて

マンションの1階部分を売却する際には、特有の課題と利点を理解し、適切な戦略を立てることが重要です。

ターゲット

まず、1階の特性を活かし、騒音を気にしないファミリー層や高齢者、ペット愛好家などを主なターゲットとして設定することが効果的です。
こうした層に向けて、専用庭や移動のしやすさを強調すると購買意欲を高められます。
たとえば、小さなお子様のいる家庭であれば、子供が室内や庭で自由に遊べる点を強調すると印象に残りやすくなります。
ペットを飼いたい層にも、移動がしやすく専用庭でペットが過ごしやすい環境であることを伝えられると良いでしょう。

価格

価格設定は、売却の成否を左右する重要な要素です。
日当たりや防犯面で敬遠されがちな点を踏まえ、相場や類似物件の事例を参考に適正価格を見極める必要があります。
過度な値下げは避けつつ、1階の独自メリットを強調することで、希望に近い価格での売却が可能になります。
実際に、日当たりや階数による価格差は、同じマンション内でも数百万円単位で生じることが珍しくありません。
こうした差を理解したうえで、1階ならではの魅力を踏まえた価格設定をおこなうことで、より納得感のある提案ができます。

メリット

1階部分の専用庭や移動のしやすさ、災害時の避難のしやすさなどを内覧時に強くアピールしましょう。
部屋をできるだけ明るく見せ、防犯対策がしっかりしていることを示すことで、購入者の不安を解消できます。
これらを総合的に考慮しながら販売活動を進めると、満足のいく結果を得やすくなります。
とくに、専用庭がある場合には購入者が実際に庭を使うイメージを描けるよう、ガーデニング例などの写真を用意しておくと良いでしょう。
さらに、防犯対策については鍵の種類や設置位置など具体的に示すことで、1階特有の不安を解消する材料となります。

まとめ

マンションの1階は、日当たりや防犯面、浸水リスクなどが懸念され、売却が難しくなることがあります。
しかし、移動のしやすさや専用庭の活用など、他の階にはない利点も豊富です。
売却時にはターゲットを明確にし、適切な価格設定とメリットのアピールをおこなうことでスムーズな取引を目指しましょう。