不動産売却時の節税は売却益の理解が重要!売却益の概要や計算方法を解説

不動産売却時の節税は売却益の理解が重要!売却益の概要や計算方法を解説

不動産売却をすると、費用を差し引いた売却益に対して譲渡所得税がかかり、売却益が生じたら確定申告も必要になります。
しかし、売却益は売却代金とは異なるため、税金の支払いが必要かを知るためにも、売却益の計算は気になるポイントではないでしょうか。
そこで今回は、不動産売却をする売主の方が知っておきたい、売却益の概要や計算の仕方、節税方法について解説します。

不動産売却価格とは異なる!売却益の概要を解説

不動産売却価格とは異なる!売却益の概要を解説

日本では、不動産売却をした場合も、利益に対して税金が発生する仕組みが採用されています。
そのため、不動産売却をする際は、売却価格を意識しがちですが、売却益についても理解しておくことが大切です。

売却益とは

売却益とは、簡単にいうと、売却利益から諸費用を差し引いた部分のことです。
不動産売却をしたときの売却価格とは異なるため、注意が必要です。
売却益は、自分で計算することが可能で、差し引く諸費用とは、取得時や売却時にかかった譲渡費用と取得費になります。

課税される税金とは

不動産売却をすると、売却価格ではなく、生じた利益である売却益に譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税とは、不動産売却をした売却益に対する所得税と、住民税の総称です。
名称を譲渡所得税とする、単体の税金があるわけではありません。
譲渡所得税のうちの所得税については、2037年12月31日まで、東日本大震災復興の財源とされる復興特別所得税も含めた課税となっています。
また、同じ所得税ではありますが、会社員の給与所得にかかる所得税とは、課税の仕組みも区別されています。

売却益が生じたときの確定申告

不動産売却をしたとき、売却益が発生したときには税金がかかるため、確定申告をの手続きが必要です。
確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得が対象で、通常は、翌年の2月16日から3月15日までの間に手続きをする期間が設けられています。
つまり、不動産売却をした場合には、その翌年に確定申告が控えていることもポイントといえるでしょう。
ちなみに、不動産の譲渡所得税は、固定資産税などと違い、税額の通知などが自治体から届く仕組みにはなっていません。
1年間のなかで、売却のタイミングが早い時期だった場合などは、申告期間は翌年となるため忘れないように気をつけましょう。
譲渡所得税は、確定申告で納付しますが、万が一、申告期間を過ぎてしまった場合には無申告加算税がかかってしまう可能性があります。
そのため、不動産売却後の確定申告の準備は、早めにおこなっておくことがおすすめです。

不動産売却で生じる可能性がある売却益!計算方法を解説

不動産売却で生じる可能性がある売却益!計算方法を解説

不動産の譲渡所得税が課税されるかは、売却価格のままでは判断できず、売却益を計算することが必要です。
そして、売却益を割り出すためには、取得費や譲渡費用の計算もあわせておこなうことになります。

取得費と減価償却費の計算

取得費とは、不動産を購入するために必要になった費用を指します。
具体的には、購入代金や建築代金、土地の測量費や登記費用、仲介手数料などです。
ほかにも、不動産取得税や印紙税といった購入のために収めた税金も含まれます。
このような購入にかかった費用を合算することにより、取得費として計上することができます。
ただし、合算できる費用のなかで、建物の取得費については、減価償却費を差し引いた金額を計算することが必要です。
土地とは異なり、建物は経年によって価値が低下する資産であるため、減少した分を差し引くために計算をする考え方です。
減価償却費を求める計算式は、「建物の購入価格×0.9×償却率×経過年数」になります。
計算式のなかの償却率については、建物の構造の違いによって、数値が定められています。
構造が木造であれば0.031を、軽量鉄骨造であれば0.025を、鉄筋コンクリート造なら0.015を計算式に当てはめて、減価償却費を割り出すことが可能です。

譲渡費用の計算

譲渡費用は、不動産売却をするために必要になった費用です。
合算することができる費用には、建物の解体費用や測量費、登記費用や仲介手数料などを含むことができます。

売却益の計算

減価償却費と取得費の計算をおこない、譲渡費用も割り出せたら、売却益についての計算が可能になります。
譲渡所得とは売却益のことですが、譲渡所得税の課税対象となる課税譲渡所得を求めるのは次の計算式です。
売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除=課税譲渡所得
つまり、譲渡所得税が生じるかどうかは、売却価格から取得費と譲渡費用の合計額にくわえて、特別控除の金額も差し引いて判断します。
不動産売却で利用が可能な特別控除の制度は複数あるため、課税譲渡所得を計算する前に、確認しておくことが賢明です。
代表的な特別控除は、3,000万円の特別控除で、譲渡所得から最大で3,000万円を差し引くことができます。
取得費と譲渡費用、特別控除を足した金額が、売却価格よりも高ければ課税譲渡所得はプラスにならず、税金はかからないことがわかります。
課税譲渡所得が、売却価格を上回っていた場合でも、プラスになっている課税譲渡所得の金額が小さければ、課税額は少額で済むのです。
計算に用いた取得費、譲渡費用、特別控除は、節税の観点からも重要な要素といえます。

不動産売却益にかかる税金の節税方法!知っておきたい特例も解説

不動産売却益にかかる税金の節税方法!知っておきたい特例も解説

不動産売却時に支払う税金のなかでも、売却益が生じたときにかかる可能性がある譲渡所得税は、金額が大きくなることもあります。
そのため、不動産売却をする際には、節税方法や損が出た場合であっても利用できる控除の知識も備えておくこがおすすめです。

売却益に生じる税金の節税方法

譲渡所得税を節税するひとつの方法として、売却益をできるだけ小さくする方法が挙げられます。
売却益を小さくするには、取得費や譲渡費用をもれなく計上することが重要です。
もれなく計上するためにも、取得費と譲渡費用の領収書などを揃えてから計算することが、節税につながります。

3,000万円特別控除の利用

大きな節税につながる方法として、利用可能な控除の特例を検討することも大切です。
なかでも先述したように、3,000万円特別控除は利用できるケースも多く、大きな節税につながりやすい制度です。
これは居住用の不動産を対象とした特例であり、不動産の所有期間は定められていないこともポイントといえます。
譲渡所得から3,000万円を差し引くことができるため、譲渡所得税がゼロになるケースも少なくないでしょう。
ただし利用要件には、「居住しなくなった日から3年が過ぎる日の属する年の12月31日までに売却する」などがあるため、事前の確認も大切です。
また、この特例を利用した場合、売却をしたあとに買った不動産は、住宅ローン控除の利用ができなくなることが注意点です。
住み替えを目的とした売却をおこなう場合には、3000万円特別控除と住宅ローン控除を比較して、より良いほうを選択しましょう。

売却損が生じたときの特例

売却益が生じないときには、譲渡所得税が発生しませんが、売却損が出たときに利用できる特例があります。
これは「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と呼ばれるもので、譲渡損を給与所得などから差し引くことができます。
利用の対象となるのは、住宅ローンのあるマイホームで、残債を下回る価額で売って、売却損が出たケースです。
くわえて、いくつかの要件をクリアしている必要があるため、必ず事前に確認するようにしましょう。

まとめ

不動産売却では売却価格に目がいきがちですが、税金の計算や節税を考えるうえでは、売却益も把握しておきたい要素です。
課税譲渡所得の計算で用いられる取得費や譲渡費用は、できる限り計上することが、節税につながります。
また、不動産売却で利用できる特別控除も、売却益を小さくする節税方法として有効です。